アメリカ東海岸の家のスタイル

Colonial(コロニアル)

完全2階建てで、一般的には1階部分が生活空間(リビング、ダイニング、キッチンなど)、2階部分がベッドルームになっている。通常地下室があり、合計3層構造が一般的。100年以上前から現在に至るまで、どの時代でもこのColonialの建物は建てられている。時代ごとにいくつかの流行の建築様式がこのColonialのカテゴリーにある。以下は、その代表的なもの。

Colonial|Victorian

100年以上前の建物に多いスタイル。ビクトリア王朝風の白壁で、小さな飾り窓が数多く並ぶ。天井が高く、建物全体も高さがある。

Colonial|Tudor

80年くらい前までに多い。イギリスのTudor形式を模した建物。レンガ、石壁、白壁と樫などの硬い木を輪郭や筋交いに用いた、美しい外壁・外観を持つ。一般的に今では用いられない優れた材質の木やレンガ等が使われ、100年近く経った今でも重厚で状態のとても良い建物が多い。

Colonial|Wraparound

西部劇などでお馴染みの建物の正面周りをテラスが取り囲み、柱と手摺りで屋根を支える形式の建物の総称 。屋根の大きさの割には家の中身のサイズが大きくないため、贅沢な造りとして今では殆ど用いられない。

Colonial|Central Foyer

現在最も人気のある完全2階建ての建築様式の代表例。玄関を入ると2階まで吹き抜けのいわゆるFoyerがあり、ここにゆったりとした階段や大きめなシャンデリアなどがある。2階の踊り場などには、ちょっとしたラブシートやデスクなどが置かれることもある。一般的には4ベッド・3バス以上のものが多い。またガレージが家の中に組み込まれているものがほとんど。

Ranch(ランチ)

平屋建て。東海岸の家屋では平屋でも地下室がある場合が大半。この形式もColonial同様、いつの時代でも建て続けられてきた。車文化が一般的になった頃、家屋自体にガレージを組み入れた建築様式が一気に広まったが(特に冬に雪が降る地域では車に直ぐアクセス出来る点が喜ばれた)、Ranchには車庫が建物と一体になっているものも少なくない。増築や改築が比較的安価でできるのもRanchの特色で、後年に継ぎ足した車庫であることも多い。

Ranch|Cape Cod

60年くらい前までに多く建てられた中2階構造の建物。建て坪、外観の割に中が合理的、空間的に作られているため、4ベッドルームの家が一般的。通常、1階にリビング、ダイニング、キッチンと2ベッドルームがある。2階は、天井が屋根の傾斜に沿って両端が低くなっているベッドルームが左右にある。地下室がある場合がほとんど。家に付随する形でガレージがついているものもあるが、大半は後で増築されたもので、中からのアクセスがないものも多い。

Ranch|Split Level

戦後に車文化が生活の根幹を占めるようになってから、急速に一般的になった建築スタイル。半階上がって玄関があり、リビングとダイニング、キッチンが同フロアにあり、さらに半階上がって通常3ベッドルーム、バストイレなどがある。このベッドルームの下にガレージがあり、さらにはファミリールームやランドリールームがここに配置されている。生活空間の変化に富み、アメリカ人には人気のスタイルだが、最近は新築では見受けられない。

Ranch|Bi Level

時代的にはSplit Levelよりやや新しいスタイル。通常2台分の車庫、4ベッドルーム以上のスペースを持ち、賃貸、売買ともSplitよりやや価格はは高め。リビング、ダイニング、キッチン、3つのベッドルームなどが同一フロアにあるが、玄関が半階以上高いところにあり、生活空間は上のフロアになる。下のフロアにはファミリールーム、ベッドルーム、ランドリー、バストイレ、車庫などがある。

Ranch|Contemporary

上記のどのスタイルにも属さない、いわばデザイナーズコレクションとでも呼ぶべき建物の総称。1970年代以降、モダニズムが流行した際にやや経済力のある層が競って建てたもの。オリジナリティ溢れる建物ではあるものの、生活のしやすさという点、また補修の際に規格外ゆえに思わぬ出費になるケースも多く、現在はかなり下火となっている。